みらい書房 オススメ書籍

●2019

弁護士でもある温泉博士が、「真の名湯」選びを伝授
『温泉博士が教える 最高の温泉』
―本物の源泉かけ流し厳選300―
小林裕彦 (著) (小林裕彦法律事務所 代表弁護士)
お値ごろで大満足できる1万円台の宿や日帰り湯など300軒超を掲載。
成分表示偽装や誇大広告はもってのほか!
20年超にわたって全国の温泉を巡っている著者が
「五大ドバドバ温泉」
「十大絵になる温泉」
「五大強烈臭温泉」
「七大足元湧出温泉」
など、独自のジャンル別におすすめの温泉を紹介する1冊。
……
「いい温泉とは?」と聞かれたら「足元湧出の温泉」と答えます。

大地から自然に湧いた純度も鮮度も100%、 成分の濃さと良さに癒されますし、疲れます。 源泉の成分が体に浸み込んで、本当に効いているなと実感できる温泉です。 最近は、泉質が優しくてツルツル感が高くてぬるめで長時間入れる お湯の表面で小さい泡が弾けているような、 本物の良質かつ新鮮なかけ流し旅館によく宿泊します。(本文より抜粋)
……
妻も感じた恐怖(栃木のある有名な温泉地に近い秘湯で)
初めに入った内湯は何ともなかったのですが、露天風呂に入った瞬間に「やばい感じ」(誰かにじっと見られているような得体の知れない怖さ)を強く感じました。そこで、すぐに露天風呂を飛び出して、着の身着のままでフロントへと駆け出しました。
私がフロントで着替えているとき、旅館の人は私をじっと見ていました。私は挨拶もそこそこに小さい橋を渡り、少しばかりの坂を不動明真言を唱えながら駆け上がって行きました。少し補足すると、私は何か怖いことがあると、「のうまくさんまんだ……」という不動明真言を唱えることにしています。ケースによっては、逆にそれを唱えるとかえってやばい感じがして控えるときもあるのですが、大抵の場合は、その真言で事が収まることが多いのです。 そのとき、坂の上で白っぽい服がチラッと見えたので、私はてっきり妻が車の外に出ているとばかり思いました。しかし、妻は車の中で私を待っていたのです。山の中の駐車場にもかかわらず、……
妻は生まれて初めて得体の知れない恐怖を感じて、車にロックをして私を待っていたそうです。すると、私が必死の形相で坂を登って車に近づいてきたので、妻はすぐに異変に気づいたとのことです。私は妻に、「バックミラーを見ると何かが写るから見るなよ」と言い、その場を急いで立ち去りました。
妻は、それまでは、私が温泉で怖い体験をした話をしたり、テレビで心霊特集などを観ていると、ばかばかしいと言って鼻で笑っていたのですが、このとき以降は、そのようなことを一切言わなくなりました。良かったのか悪かったのかよく分かりませんが、夫婦の価値観がある部分で共通になったことは間違いありません。(本文より抜粋)
……
この続きは本書で……。
(四六判304P 口絵カラー16P 2019/12)

女性は何歳からでも必ずキレイになれる
鍛えよ、素肌力。
たるみ、シワ、ほうれい線……老化のサインを消す魔法
『脱・オバサン顔! 1分間毒出し顔トレ』
Micaco (著)(ボディライン・アーティスト)
朝は洗顔後、夜はメイクを落としがてらに、顔トレを1分間だけ!
特別な道具は一切必要なし。
手の指の第一関節と第二関節で顔の骨をしっかりとらえて、力を入れて押すだけ。
顔トレが痛いほど、あなたの顔は毒素だらけ!
痛い=毒素がたまっている証拠。
顔の毒素をかきだすように押します。
1週間ほどで顔の毒素が抜けて=痛みは心地よさに変わります。
さあ、本書で毒出し顔トレ。
あなたのお顔、デットクスしましょう。
毎日続ければ、あなたのお顔「マイナス15歳顔」に!!
……
老け顔になる理由はいろいろありますが、なかでも、顔の「骨の周りにたまった毒素」による「筋肉の衰え」が大きな要因になります。
それらを解消するために、たまった毒素を取り除きデトックスします。
さらに顔の筋肉を鍛えます。
すると、あなたのお顔がみるみる変わっていきます。
老け顔は顔トレで解消。何歳からでも可能です。
相乗効果で肌もキレイに、ファンデーションいらずのお顔に大変身!!
(四六判96P 2019/10)

●2019

寿命が永遠にあると思って、壮大な夢を描きなさい
そして明日死ぬと思って、今日を精一杯生きなさい
『会社を辞めずに収入を月50万円増やす!』
―小さく始めて成功させる「自分ビジネス」―
船ヶ山 哲 (著)(心理を活用したマーケティングが得意。起業5年で1000社以上のクライアントを獲得)
……
自分ビジネスで成功できるのは次の2つのうちどっち?
□趣味をいかした釣り具のネット販売……OK
□昔から憧れていたカフェを始める…………NG
……
もう、おわかりですね。
自分でビジネスを始めるということは、時間や労力の対価でキャッシュを得るような働き方をしてはいけないということなのです。
そうです。あくまでもキャッシュにこだわるのです。
時間で報酬を得るという働きかたをするのではなくて、自分にしかできない商品やサービスを生み出してそれでお金を稼ぐという方法を見つけるということなのです。
価値をお金に変えること、つまりは商品やサービスを取り扱うということになります。

一度、価値を形にしてしまえば、あなたが直接かかわらずとも、お金を得ることができるのですね。時間ではなく価値を生み出すことができれば、あとは交換するだけでお金は増え続けます。(本文より抜粋)
……

自分ビジネス成功の心得
●立ち上げは3ヵ月以内に
●売るのが先、仕入れは後
●大冒険せずに小さな一歩から
●まず1人目の顧客を獲得せよ
●最初から共同経営をしない
●「8割既存、2割新規」狙いで
●「お客様の声」にヒントがある

今の生活を変えることなく
月プラス50万円を実現するには?
どうしたらいいの?
あなたに最適なビジネス発見シート付き
職場での経験や趣味など、ビジネスの種は身近に眠っている!
(四六判192P 2019/7)

作家中島京子の傑作小説を里中満智子が漫画化!
生きよ! 生きて道を切り開け!!
生きなければ誰も故郷を語れなくなる
女大名、祢々(ねね)の物語
『かたづの!』
―八戸・遠野の女大名「清心尼」―
里中満智子 (著)   中島京子(原作)
東北南部家の支藩の女大名となった実在の女性祢々(ねね)は、
冷酷な叔父の藩主の策謀に翻弄され続けながらも、
戦を交えず知恵を使って領地を治めました。
……
清心尼は実在の人物で、十七世紀初めを生きた、江戸時代唯一の女大名だった人だ。
わたしがこの人のことを知ったのはほんとうに偶然で、ある研究者によるそっけない一文に、そういう人がいたと書かれていたからにすぎない。
歴史小説を書いたことがなかったわたしにとって、清心尼は少しだけ、書くには荷の思いところがあったのだが、そんなことを言ってはいられなかった。
いつからかわたしの前に彼女があらわれて、「早く書きなさい」と𠮟咤してくるような感覚があったのだ。
いまでも、この小説は自分が書いたというより、何者か、つまりは清心尼によって、書かされた小説であるような気がしてならない。
……(漫画版「かたづの!」中島京子のあとがきより抜粋)
(A5判296P 2019/3)

政治、教育、社会……
世の中、おかしなことが多すぎませんか?
土地、安う買えたでとか、友だちやったから学校できてもうたでとか、
今の日本おかしいでしょう。
『ハッキリ言わせていただきます!』
―黙って見過ごすわけにはいかない日本の問題―
前川喜平 (元文部科学事務次官)
谷口真由美(大阪国際大学准教授・全日本おばちゃん党代表代行)
大阪のおばちゃんと奈良のおっちゃんが激アツトークでツッコミいれます!
世の中の動きを、黙ってスルーしているといつのまにかアブナイ方向に進んでいたり
重要問題が議論なしで決まってしまったり。
おかしなことが平然とまかり通ってしまう理不尽だらけの日本社会とどう向き合うか、
前川喜平(加計学園による獣医学部新設の件で、文部科学省で「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だ」などと言われたなどと記録された文書の存在を確認したことを公表したことで知られる)と、谷口真由美の二人の熱き対談。

森友学園問題:「安倍晋三小学校を作りたい」大阪府豊中市の評価額9億5600万円の国有地が、森友学園に1億3400万円で払い下げられた問題。(2016年)。
加計学園問題:安倍晋三首相の友人、加計孝太郎(理事長)の加計学園で獣医学部が新設(52年間認められていなかった)できる国家戦略特区の事業者に選定された問題(2017年)。
などを本書では取り上げています。 桜を見る会問題:本書刊行後の2019年5月に表面化した日本の内閣総理大臣が主催する「桜を見る会」をめぐる一連の問題(2019年)についても論じてほしかったと思います。
(四六判256P 2019/2)

●2017

老後破産を防ぐには?
日経ヴェリタスの人気連載がわかりやすいコミックに!
『定年まで10年ですよ』
―まんがでわかる老後のマネー教本―
日経ヴェリタス編集部(編)
作画:あおきてつお
年金・介護・相続・医療費などなどの現代社会における、 お金にまつわる傾向と対策を3人の50歳をモデルにした漫画で解説。 同期3人が直面する悩みを通じて家計見直しのコツや老後対策をアドバイスしています。
定年後、お金で困らないための必読書です。
50歳から知っておきたい、定年後のお金のアレコレが分かります。
平均寿命が延び、 定年後30~40年も生きるつもりで準備をしなければいけない時代を迎えています。
老々介護、いつまでも自立できない子ども……。
親世代とは異なる問題にも直面しています。
人生の節目を意識させる50歳は、 資産形成でまだ巻き返しのきく最後のタイミングといえます。
(週刊投資金融情報誌「日経ヴェリタス」編集長あとがきより抜粋)
(四六判168P 2017/5)

戦中の芥川賞(『糞尿譚』)作家、火野葦平。
従軍作家として、戦地に赴いた 火野葦平が綴った戦地ノンフィクション。
今、なお新しい、従軍手帖
『インパール作戦従軍記』
―葦平「従軍手帖」全文翻刻―
火野葦平
解説:渡辺 考(NHKディレクター)   増田周子(関西大学教授)
火野葦平は、兵士・報道班員として戦地に従軍し、 戦地から20数冊の手帖を持ち帰りました。 戦場は中国大陸・マレー半島・比島・ビルマ・インドにまでおよびます。
勝ち戦から敗北の撤退戦までを、 つぶさに記録したその膨大な直筆手帖は凄惨な戦場からのルポルタージュです。
あるときは敵弾の飛び交う中を戦車の陰から、 またあるときは敗退する小舟に身を潜めて、 そして白骨街道と化したビルマのぬかるみに 日本兵とともに足を引きずりながら、 書きつづけた従軍手帖。
本書ではその従軍手帖の「インパール」編6冊を図版も含めて活字化しました。
戦争を言葉で表現する使命を帯びた火野葦平(軍報道部の腕章をつけ)が、 中国戦線でメモをとる写真なども掲載しています。

加えて同行した画家・向井潤吉(むかいじゅんきち)。
向井潤吉もまた絵画で戦争を記録し、 銃後の国民に前線の様子を伝える使命を帯びていました。
本書に掲載された向井潤吉のリアルな戦場スケッチも圧巻。
また、火野葦平は同行者、古関裕而(こせきゆうじ)の苦悩(自分の曲が歌われ多くの若者が戦地に送られた)も正直に書き残しています。

戦争は、このように小説家、画家、作曲家、芸術家をも 巨大な渦の中に巻き込みながら取り返しのつかない敗戦へと突き進んでいくのです。

「火野は人間を書こうとする。記録ではなく小説家の目である。しかし表現は適切に制御されている。検閲に際して、あわてて破り棄てるような愚は犯さなかったであろう。」と火野の従軍手帖の全貌を、かつて自らの目で取材した作家・浅田次郎をして言わしめました。

臨場感あふれる詳細な解説(NHKディレクター 渡辺 考・関西大学教授 増田周子)付きで、あなたもリアルな戦場体験ができます。

火野葦平(ひのあしへい)(1906~1960):作家。第6回芥川賞受賞。『麦と兵隊』などの兵隊三部作が銃後の日本の大ベストセラー(300万部超)となり戦争作家と呼ばれる。戦後は戦犯作家として戦争責任を厳しく追及された。
向井潤吉(むかいじゅんきち)(1901~1995):洋画家。大日本陸軍従軍画家協会(1938年)の会員となり戦争画を描く。1944年インパール作戦を記録するため作家・火野葦平と共に従軍、2人は協力して危険をくぐり抜けビルマまで戻る。帰国後は軍需生産美術推進隊隊員として、各地の炭坑で制作を続けた。戦後は「民家の向井」と呼ばれ古い民家の絵を描き続けた。弟は彫刻家、マネキン制作会社初代社長の向井良吉、長男は元TBSディレクターで萩本欽一を育てた向井爽也。
古関裕而(こせきゆうじ)(1909~1989):作曲家。兵士への哀れみと物悲しさを秘めた曲「露営の歌」をはじめ、戦中は兵士を鼓舞する軍歌を作曲。戦後は、NHKドラマ「鐘の鳴る丘」の主題歌、阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」、早稲田大学の応援歌「紺碧の空」、高校野球で使われている「栄冠は君に輝く」を作曲した国民的作曲家。
また、古関裕而はNHK連続テレビ小説「エール」の主人公(2020年春)。
……
露営の歌
勝って来るぞと 勇ましく
ちかって故郷を 出たからは
手柄たてずに 死なれよか
進軍ラッパ 聴くたびに
まぶたに浮かぶ 旗の波
……

中村哲(なかむらてつ)(1946年~2019年12月4日):医師(脳神経内科)。アフガニスタンなどで国際的な支援活動を続け、ノーベル平和賞候補ともいわれていた。アフガニスタンで銃撃される。(告別式では、親交のあった上皇夫妻や秋篠宮夫妻などからも弔意が寄せられた)。ペシャワール会現地代表、ピース・ジャパン・メディカル・サービス総院長、九州大学高等研究院特別主幹教授などを歴任。この中村哲は火野葦平の甥(火野の妹の子ども)。祖父の玉井金五郎(つまり火野葦平の父は福岡県若松で港湾荷役業を営んでいた)は、映画『花と竜』のモデルである。
(四六判592P 2017/12)

●2015

戦後70年
今、読んでもなお新しい珠玉の11編を収録
文学のもつ圧倒的な力を耽読あれ
『戦争と文学スペシャル』
―戦後70年を読み直す―
集英社ムック マガフェス
日清日露の戦争から現代、SF・ファンタジーまでの戦争小説を網羅。
戦後70年の今だからこそ読んでほしい小説11編を紹介しています。

芥川龍之介『桃太郎』:日本昔話の桃太郎が鬼(平和を愛する心優しき)に与えたむごい教訓。
津原泰水『土の枕』:日露戦争。生まれてきた根源を静かに問う短編。それは『大地』にも似て。
日比野士朗『呉淞(ウーサン)クリーク』:上海事変。揚子江河口で敵前渡河の命令を待つ私。深く自分を見つめる。
田村泰次郎『蝗(いなご)』:日中戦争。大陸列車に乗る慰安婦と護衛兵の行く先に待っているものは何。
古処誠二『糊塗』:太平洋戦争。友軍の心の中に忍び寄る小さなほころび。
結城信一『鶴の書』:東京空襲。空襲下の妻恋譚。
村上春樹『動物園襲撃』:1945年ソ連参戦直後の満州脱出船。ねじまき鳥クロニクルより。
小島信夫『城壁』:日中戦争。分隊長もわっちら兵隊も早う日本へ帰った方がいいですわ。
浅田次郎『遠別離』:大日本帝国陸軍歩兵第一聯隊駐屯地の話と思いきや一転。
シリン・ネザマフィ『サラム』:9・11。ビルに突っ込む旅客機、日本在住難民の苦悩。
秋山瑞人『おれはミサイル』:SF。なあ、おまえには俺たちと同じ意思があるのか。

その他に、カラーで見る従軍手帖の世界、ビジュアルな戦争画・写真で戦争を見る、作家、浅田次郎さん特別寄稿「時代の贄(にえ)」もお見逃しなく。
(B5判254P 2015/7)

●2014

臨場感あふれる写真とフィールドワークで 北海道の動物たちの今がそのまま伝わる!!
環境調査を仕事にしている著者の 抑えた文体からは心の叫び声が聞こえてくるようだ。
あなたは北海道の海鳥・海獣をいくつ知っているか?
『北海道の動物たち』
―人と野生の距離―
千嶋淳(著)(NPO法人日本野鳥の会十勝支部副支部長)
サロルン・カムイ(湿原にいる神)―タンチョウ
シラツキ・カムイ(占いをする神)―アホウドリ類
チプタ・チカプ・カムイ(舟を彫る鳥神)―クマゲラ
ユクコイキ・カムイ(シカを獲る神)―エゾオオカミ
キムン・カムイ(山にいる神)―ヒグマ
レプン・カムイ(沖にいる神)―シャチ
……
アイヌの人たちは北海道でともに暮らす動物たちを、 カムイ(神)と呼んで畏敬の念を抱いて接していました。
動物につけられたアイヌの言葉が畏敬の念を物語っています。
……
北海道の自然は四季折々、様々な顔を見せてくれます。
春、一気に融雪の進んだ林床を“スプリング・エフェメラル”と呼ばれる春植物が彩り、 夏の大雪山では高山植物が咲き誇ります。
渡り鳥が南へ急ぐ秋を経て、 雪氷に閉ざされる冬、オホーツク海は流氷で覆われます。
その豊かな恵みとともにオホーツク文化やアイヌ文化が繁栄しましたが、 明治以降の開拓で様相は一変します。
世界自然遺産の知床半島に代表される原生的自然を連想しがちな北海道でも 川は直線化され、原野の多くは農地や宅地に姿を変えました。
一方で変化する環境に巧みに適応してきた生物もいます。
本書では北海道の野生動物について、 現場から最先端の情報を盛り込んで筆者の写真とともに紹介すると同時に、 古代から現代まで、様々な時点での人間との関わりにも言及するよう心がけました。
(はじめにより抜粋)
……
(四六判208P 2014/10)

●2013

全米主要メディア、CNN、ニューヨークタイムズなどなど で 取り上げられ、欧米で話題になった 日本人外科医師のメッセージとは
『NOから始めない生き方』
―先端医療で働く外科医の発想―
加藤友朗(著)コロンビア大学外科学教授
……
ユダヤ教では男の子が13歳になるとバーミツバというお祝いをする。
ユダヤ教で成人の仲間入りをする儀式である。
バーミツバはユダヤ教では一生に一度の大切なお祝いである。
結婚式のように親戚や子どもの友だちをたくさん集めて 盛大なパーティを開くのが慣わしだ。
おじいちゃんとおばあちゃんは初孫のバーミツバまで 必ず生きていると約束したというのだ。

「あと1年なんです。でもがんを放ったままじゃ、そんなに生きられないでしょう?」
……
そこで、著者は70歳過ぎの膵臓がんのユダヤ人のおばあちゃん(がんのできやすい体質でそれまでなんと10回ちかくもの手術歴あり)の 「膵頭十二指腸」を切除するという難しい手術に臨み、 12時間におよぶ手術を成功させた。
……
おばあちゃんは手術後2日後には立って病棟を歩いていた。
おばあちゃんは無事に孫のバーミツバを迎えることができた。
……
しかし、おばあちゃんはまたしても病に倒れ、 今度は太ももに肉腫ができた。
また、手術に挑むも、手術後1か月ほどで息を引き取った。
……
著者のオフィスには、おばあちゃん(セミプロの画家として活躍)が 描いてくれた花の画と彼女の写真が飾ってある。(第3章 おばあちゃんのバーミツバ より抜粋)

本書は、万策尽きた末期がんの患者から、最期の望みを託された外科医の NOと考えない発想の転換と決断のノンフィクション。
おばあちゃんのバーミツバを含む12の物語で構成されています。
(四六判200P 2013/01)

●2012

多様性を考える言論誌
『kotoba』
―コトバ第7号―
特集:死を想う -現代人にとって「死」とは何か?-
[対談]
「これでいいのか日本の英語教育」
加藤友朗(医師)
×
河野太郎(衆議院議員)

かつてアメリカの大学(ジョージタウン大学)で政治学を学んだ河野太郎と、 アメリカで最先端の移植医療に従事する加藤友朗による対談。
英語を身につけるのに苦労した二人が、 英語が話せる日本人を育てていくためにはどうしたらいいのかを語り合った。
英語民間試験活用問題(2019年11月)につながる、貴重な対談です。是非、ご一読を!!

英語民間試験活用問題:2020大学入試改革、 2020年度から始まる大学入学共通テスト(共通テスト)で予定されていた英語民間試験の活用が、見送られることになった。かねて受験機会の公平性などを理由に延期を求める声が多く出ていたが、萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言が格差を容認しているとして、一気に反発が強まった問題(2019年11月)。

河野 太郎(こうの たろう、1963~):政治家。衆議院議員、外務大臣を経て防衛大臣(第20代)。父の河野洋平は、由民主党総裁、副総理、外務大臣、内閣官房長官、科学技術庁長官、衆議院議長を務めた。祖父の河野一郎は、副総理兼東京五輪(1964年)担当大臣、建設大臣、行政管理庁長官、農林大臣を務めた、 ジョージタウン大学(Georgetown University):アメリカ合衆国の私立大学。ワシントンD.C.の近郊、ジョージタウンに位置する。政治、国際関係では世界屈指の大学。

(季刊誌2012年春号に収載)(B5判254P 2012/6)

●2013

われ思う、ゆえにわれあり
コギト・エルゴ・スム
考えている私は確かにココに存在している
『デカルト、たりてる?』
―優柔不断に効くサプリ―
齋藤孝(著)
ヨシタケシンスケ(挿画)
哲学者デカルトの『方法序説』。4つの原則
1.証明できる根拠や証拠だけを受け入れる。即断と偏見は避ける
2.問題は小さく分割する
3.順序だてて思考を深める
4.可能性をすべて検討してから、全体を見直してみる

自分で判断できない場合の暫定3ルール
1.法律と慣習に従う。良識人の穏健で中庸な意見に従う
2.決心後は一貫した行動。決めたらやり抜く
3.欲望をコントロールし、執着を脱する
デカルトのルールに則して思考を進めていくと、目に見えない不安をコントロールし メンタルをセットすることができるようになります。

困ったことを ①小さな部分に分け
②紙に書きだし
③優先順位をつける
④決めたらやりぬく(決心がつかなかったら良識人に意見を聞く)ことです。
そして、考えてもどうしようもないことで エネルギーを浪費するのは無駄なことだと 割り切るのも大切なことだと本書が教えてくれています。
思考をとめず、急がず、粘り強く―― 精神をくっきり持って生きる覚悟。 これぞデカルト式。
すごい! すごすぎるよ! デカルト!!

ヨシタケシンスケさんの表紙イラスト、挿画がうれしい本書です。
(B6変形判192P 2013/01)

●2012

スマホばかりを見ているあなた
ブツブツつぶやくだけのあなた
あなたの本来の言葉で叫んでみませんか!!
『つぶやく時代にあえて叫ぶ』
―一瞬で変われる言葉のスイッチ12―
齋藤孝(著)
ヨシタケシンスケ(挿画)
力のこもった言葉を使えるようにするには、 からだに言葉を取り戻すことです。
自分の意志、判断、思い、決意が息づいていない言葉はとても軽く、 こころに響いてきません。
ネットでは、膨大な言葉が、 毎日、さまざまな言語で発信され世界中を舞い踊っています。
……
ちょっと飽きっぽい傾向があったという著者は、 「息」の研究で「粘る」という言葉をテーマにしました。
細く長~く息を吐く練習、 テニスで長くラリーをつづける、 ネバネバ~の納豆やとろろを食べる(笑い)などなど、 わけのわからないことまでした結果、粘り腰が身についたといいます。
著者は自分へのメッセージを言葉として掲げ、 意識に定着させるために行動を変え、 潜在能力をスイッチオンしようとすすめています。
……
自分のスタイルをしっかり持っている人は、言葉に身体性がある。
自分のからだから出た言葉には力がこもる。
人のこころに本当に届く言葉を発することができるようになる。
生き方のスタイルは言葉で変わる。
……
本書のなかから、あなたの言葉のテーマが見つかります。

各章の扉の挿画はヨシタケシンスケさん。
クスリと笑える仕掛けに思わずいいねを連発してしまいます (12章分の挿画が楽しませてくれます。
願わくは、1章の扉の “夢中でスマホを操る男性(著者)の背後に忍び寄るその妻に 叫ばれ驚いてスマホを落とす図” という挿画を表紙画に使ってほしかったと思うのです)。
(四六判256P 2012/05)

●2011

からだを鍛えるように、思考を鍛えよ!
古代ギリシャの哲人ソクラテス、プラトン、アリストテレスらに学ぶ
知的会話の活用術
『ギリシャ哲学の対話力』 齋藤孝(著)
古代ギリシャの哲学者に学ぶ対話術のすすめ。
古代ギリシャといえば、オリンピック発祥の地。
一定のルールのもとで対等な立場で競い合うことを好んだ古代ギリシャでは、 哲学的な対話もスポーツのようにおこなわれていました。
本書はスポーツのように対話することを楽しむための本です。
スポーツのようにからだと心を前向きにして取り組む。
からだを鍛えるのと同じように、 理性を軸とした思考の体力を鍛えよと説いています。
……
対話とは、「脳がちょっと汗をかいて活動している」ようなイメージであり、 相手をわかろう知ろうと考え、 さらに「そのことには共感できますよ」と相手に歩み寄ろうとする姿勢である。
……
対話力を学ぶのなら、古代ギリシャ式対話法をモデルにするのが最良の方法。
「対話することこそが人生の華」by古代ギリシャの市民。
(四六判208P 2011/12)

●スポーツもの

走れ!! 陸上日本代表男子リレーチーム。メダルへの熱き挑戦!
『一瞬の風になれ』の佐藤多佳子さん初の書き下ろしノンフィクション。
『夏から夏へ』
佐藤 多佳子 (著)
君は08年北京の夏を駆け抜けた男たちの物語を覚えているだろうか。あの感動の夏が今再びここによみがえります。『一瞬の風になれ』で本屋大賞を受賞した著者が、2007年の大阪世界陸上から08年の北京オリンピックまでの日本代表リレーチームを取材して、世界に挑む日本のトップアスリートたちの熱き闘いを描いたノンフィクションです。銅メダルを獲得するまでの軌跡があの夏の日のように爽やかに鮮やかに浮かび上がる一冊です!!(四六判 308p 2008/07)

2008年夏の北京五輪で、銅メダルを獲得したリレメンはイケメンぞろい。

そのリレメンの北京五輪前夜までを描いた感動のノンフィクションがついに文庫になった。

夏から夏へ(集英社文庫)
佐藤 多佳子 (著)

日本陸上のトラック競技でのメダル獲得は実に 80 年ぶり、リレー競技では初の快挙となりました。翌年の 09 年夏には、青少年読書感想文全国コンクールの高校生の部の課題図書にも選ばれた、感動のノンフィクションが文庫になって、ますます読みやすくなりました。

文庫の巻末には、著者と銅メダルの立役者、朝原宣治さん(大阪ガス)とのスペシャル対談が収録されています。陸上談義はもちろんのこと、取材現場での心温まるエピソードや締め切りに向かって短距離ランナーのようにハイテンションで書きまくった著者のお話。またロンドン五輪に向けて新チームのコーチとして戦うことになる朝原さんの気概などが興味深くていねいに語られています。文庫の巻末には朝原さんの愛読書披露というおまけまでついています。陸上ファンには見逃せない一冊です。 (文庫判 320p 2010/06)

4×100mリレー 銅メダルへの “アンダーハンドパス”プロジェクト!
これがアンダーハンドパスの科学だ。
『つなぐ力』
石井 信 (著)
陸上競技のトラック種目のなかで、唯一4人で走るリレー競技はバトンパスでお得な距離を稼ぎながら、4人でつないでいく陸上で唯一のチームスポーツです。特にバトンだけが移動するバトンパスの瞬間は悲喜こもごものドラマが見えます。この本は、世界最速の男ボルトをはじめとした、100m9秒台の選手がゴロゴロいる世界のチームと戦った、日本男子リレーチームの物語。北京五輪で日本陸上界悲願の銅メダルを獲得することができたのはなぜか。世界と戦ったアンダーハンドパスのプロジェクトに迫った一冊です。

裏表紙には、アンダーハンドパスとオーバーハンドパスのどちらが有利に戦えるのかを

ユーモア満点の絵解きで比べています。この書籍はスポーツライターとして陸上界を暖かなまなざしと淡々とした語り口で書き続けた著者( 2010 年他界)の渾身の作品となりました。(B6判 192p 2009/07)

フルマラソンを3時間30分切りで走るための新しいトレーニング法が満載!! 
さあ、あなたも今日から始めよう
『あなたも3時間30分が切れる』
―岩本流マラソントレーニング

岩本 能史 (著)
実際に多くの市民ランナーを 3時間30分切りに導いた岩本流トレーニングの集大成です。ビギナーでも薄いソールのシューズを選ぶべし! 峠を走って脚筋力を鍛えろ! マラソンレースでエネルギー切れを防ぐための食べ方! 6か月でフルマラソンを走るためのトレーニングスケジュールなどの、お役立ち情報がたっぷりつまった、ワンランクUPした走りを目指すランナー必読の一冊です!!(A5判 127p 2009/03)

●スポーツもの

トップ選手も実践 決定版
『ランナーの体幹エクササイズ』
高嶋 直美 (著)
アスレティックトレーナー・理学療法士である著者が、五輪や世界選手権などで活躍する実業団のトップ選手に教えている体幹トレーニングを市民ランナーに向けてアレンジした一冊です。「体幹」とは、胴体の部分にある腹筋、背筋、臀筋などの筋肉のこと。この部分をしっかり鍛えることがアスリートのパフォーマンス力をアップさせるカギになります。その上、スッキリと締まったからだを手に入れることができるのでダイエット効果もバツグン。また、「人間万事塞翁が馬」「禍い転じて福となす」などと著者がトップ選手を励ますメンタルトレーニングの読み物も充実しています。(ランナーズ刊A5判 128p 2009/12)

ありそうでなかった
『マラソンの教科書』
― ベテラン指導者が教える快走への手引き ―
前河 洋一 (編)
健康志向と相まって、空前のランニングブームが到来しています。かつてチャレンジするスポーツだったマラソンも、楽しむための42.195kmになりました。走るためのHOW TO本や指南書がたくさんあるなかで、本書はベテランの指導者やスポーツドクター、元アスリートなどの13人の豪華執筆陣によるマラソンの正しいトレーニングのための教科書です。初心者ランナーから自己流を打破してワンランクアップしたいベテランランナーまで幅広くお勧めしたい一冊です。(ランナーズ刊A5判 128p 2010/02)

魂が躍動し
いのちが響き合う
珠玉のエッセイ集
『遅れてきたランナー』
― 灰谷健次郎が走る ―
灰谷健次郎(著)
作家、灰谷健次郎はランナーである。
自称、遅れてきたランナーであるという。

灰谷健次郎が走りはじめるまでの気持ちの変化や、 走ることの意義、 走る楽しさ、 走る生活から見えてくる自給自足の快さ、食、住、 淡路島から沖縄に移り住むまでの心境などを、珠玉の言葉で綴ったエッセイ集。
思わず、走り出したくなること請け合いの1冊。
(この書籍は新潮社から版権を角川書店に移した灰谷健次郎氏の推薦により角川文庫の1冊になった(現在は品切れ))。
(菊判ハードカバー208P1990/12)

『高石ともやの気分はいつもトライアスロン』
高石ともや(著)
フォークシンガー高石ともやが、 ジョギングからマラソン、 トライアスロンにのめり込んでいく心の軌跡を描いたエッセイ集。

『高石ともやの挑戦!!』
高石ともや(著)
高石ともやはどこまで走り続けて行くのだろうか。
高石ともやの第2弾エッセイ集。

『マラソントレーニング あなたも3時間30分が切れる』
岩本能史(著)(2009)

『ありそうでなかったマラソンの教科書』
前川洋一(編)(2010)

『マラソンに常識はない』
伊藤静夫(著)(日本体育協会スポーツ科学研究室室長)(2013/7)

●文芸書

第7回小林秀雄賞を受賞したエッセイ集
『寡黙なる巨人』
多田 富雄 (著)
脳梗塞で声をなくし、半身不随になった著者の闘病記です。脳梗塞で倒れたその瞬間を境にすべてが変わってしまった世界的免疫学者の多田富雄氏。半身不随となり、声をなくした著者の命がけのリハビリ闘病記と日々のできごとを綴った一冊です!! リハビリのなかでもユーモアを失わない、ちょっぴりおちゃめな著者の一面が垣間見えて、ほのぼのとしてきます。リハビリのさなかに一瞬新しい回路がつながる感覚があった。それはあたかも新しい巨人が目覚めるようだったとの文中のくだりは言い得て妙です。これがタイトルの所以?! 文庫になってますますよみやすくなりました。 (四六判 248p 2007/07)

自伝的エッセイ集!!
『ダウンタウンに時は流れて』
多田 富雄 (著)
2001年突然脳梗塞の発作に襲われ奇跡的に一命をとりとめた、世界的免疫学者である多田富雄氏が、アメリカのコロラド州ですごした、若き日の留学時代を鮮やかに綴った一冊です。西部劇のおもかげを残したデンバーのダウンタウンで繰り広げられたちょっぴりほろ苦い青春の思い出と、青雲の志を抱いて見上げたであろうロッキー山脈をモチーフにした表紙があなたを60年代のアメリカにいざないます。(四六判 213P 2009/11)

時は1960年代、所はニューヨーク大学。アメリカに留学していた若き日の多田富雄氏が出会ったのは、免疫学の巨人ゾルタン先生だった。ふたりの間に繰り広げられる年代を超えた奇妙な友情。やがて多田氏はゾルタン先生の数奇な経歴に気付く。
『免疫学の巨人』
―7つの国籍を持った男の物語―

ゾルタン・オヴァリー (著) 多田富雄(訳)
欧州で2つの世界大戦を経験。時代の波に翻弄された著者のはなしや芸術に対する造詣の深さが余すところなく語られた一冊です。

1907年に東欧のハンガリーの貴族の家に生まれた著者は、第一次世界大戦で敗戦国となったハンガリーからルーマニア国籍になります。その後、パリ大学で医師免許を取得し、パリのパスツール研究所に勤務。ルーマニアの医師免許取得。第二次世界大戦が勃発するとルーマニアに召集されるも、ウィーン裁定(1940年)により再びハンガリー国民にもどります。ハンガリーの医師免許を取得。今度はハンガリーの召集によりロシア戦線の野戦病院に配属に。

第二次世界大戦後は難民キャンプで雑役夫として働くも、ソ連の影響色濃いハンガリーへの帰国を選択せずに無国籍となります。ローマへ渡り、イタリアの医師免許を取得。イタリアの国籍を取得後、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学医学部を経てニューヨーク大学医学部に勤務。

免疫学の世界では、PCA反応、ブリッジ仮説、キャリア効果を発表し教科書にも掲載される有名な学者でもある著者。著者55歳、訳者の多田富雄氏は28歳の若き留学生として出会い親交をはぐくんでいきます。その後、新大陸アメリカの国籍を取得した著者はますます免疫学の伝説的な学者として勇名をとどろかせ、著者が提唱したエイズ問題は国際免疫学会での最重要議題として、現在も扱われています。

無国籍を含めてのべ7つの国籍と5つの医師免許を持つ著者が縦糸です。さらに98歳という長寿で没するまでの人生を、音楽や絵画、文学などのあらゆる芸術に生で接した生き証人としてのエピソードが飾ります。あまたの芸術家や有名人との交友を綴った文章は説得力に富み、同時代を生きた人にしかわからないユーモア感覚でいろどられています。

しかし、戦中に虐殺されたであろう両親については多くを語らず。またユダヤゆえにアウシュビッツへ送られ2度と再びあえなかった友人や奇跡的に生還した幼なじみの挿話なども盛り込まれています。ほろにがい恋の思い出などの隠し味も楽しめます。訳者の多田富雄氏も著者没5年後の2010年に他界されました。(四六判376p 2010/11)

守屋浩、舟木一夫、ザ・スパイダースなどの往年の歌謡曲ファンにはなつかしい面々や、和田アキ子、森昌子、石川さゆり、榊原郁恵、山口百恵をスターにした辣腕社長がいた。その芸能プロダクション、ホリプロの創業者堀威夫を、旧知の仲である直木賞作家である村松友視氏が書いた作品がコレ!!
『ギターとたくあん』
― 堀威夫流 不良の粋脈 ―

村松 友視 (著)
「時代屋の女房」(1983年松竹)という映画を覚えておいでだろうか。夏目雅子演じる謎の女真弓と渡瀬恒彦演じる安さんという骨董屋「時代屋」の主人との恋を中心に、綾なす人たちを描いた人情味あふれる物語。はっとするほどステキだった夏目雅子とその夏目雅子をいつくしむ渡瀬恒彦の演技が印象的な作品でした(キャストを変えて1985年にも映画化、2006年にはドラマ化もされたとのこと)。

その原作『時代屋の女房』は直木賞を受賞した(1982年)村松友視氏の作品。村松友視氏は中央公論社勤務を経て作家活動に入り、祖父で作家の村松梢風のつれあいのことを書いた作品『鎌倉のおばさん』で泉鏡花賞を受賞。また戦前の村松梢風の小説である『男装の麗人』を再び検証して著した『男装の麗人』は2008年テレビドラマになりました(テレビ朝日ドラマスペシャル)。その他にも、『私、プロレスの味方です』『アブサン物語』『幸田綾のマッチ箱』『帝国ホテルの不思議』など多数の著書がある作家です。

その直木賞作家の村松友視氏がホリプロの創業者である堀威夫氏を取材して書いたノンフィクションが本書です。芸能界の移り変わりと自身の作家の人生とを重ねあわせて描かれた、良質な歌謡史のおもむきを呈しています。ぜひ、ご一読を。(四六判232p 2010/10)